現在、インプラント治療は数多くの科学的根拠を集積した結果、確実性が高いことが証明されており、欠損補綴の選択肢として確固たる地位を確立している。
近年では、治療期間の短縮を目指して、抜歯即時インプラント埋入(抜歯と同時にインプラントを埋入)に関する基礎研究、臨床研究が盛んにおこなわれ、臨床でも抜歯即時インプラント埋入がおこなわれている。

しかし、抜歯即時インプラント埋入を行うと、以下のようなことが怒ることが研究から報告されている。

1、抜歯後に起こる骨吸収を抑制せず、通常治癒よりも骨吸収が進む可能性があり、唇側で起こる垂直的な骨のリモデリングを阻害する可能性が高い
2、唇側思想超の最歯冠側の骨高さと幅の吸収を通常の抜歯窩と比較して促進する傾向にある
3、連続多数歯抜歯後に一本のインプラントを即時埋入した場合、抜歯本数が増えるほどインプラント周囲骨の骨吸収はインプラント全域にわたって大きくなる
4、抜歯窩と埋入されたインプラント間のギャップ、ならびに頬側骨壁概則に脱たんぱく骨ミネラルを填入して、メンブレンで覆っても、唇側における組織量を維持することができない

また、近年の文献からも即時インプラントまいにゅはその他の時期における埋入と比較して、「束状骨のみで支持されている領域は必ず減少する」こと、「高頻度に軟組織の退縮が怒る可能性がある」こと、ならびに「インプラントの失敗率が高い」ことが分かっている。が、一方で「即時インプラント埋入における辺縁骨の吸収程度は同じである」こと、ならびに「術後の感染合併症に差異はない」ことがわかっている。

さらに、早期埋入におけるインプラント周囲骨組織の安定性は、遅延埋入におけるそれよりも優れている可能性があることと、埋入と同時の骨造成に関する早期埋入の優位性と軟組織の必要性を鑑みて、非審美領域であれば、条件が許せば即時インプラント埋入は可能だが、一般的に審美領域ではリスク(不安定要素・不確実性)を伴うため、早期埋入を行う方が確実性は高いと考えられている。審美領域の抜歯即時埋入は術前の診断が非常に重要で、症例によりインプラント埋入時期を選択する必要があります。

まとめ
1 抜歯即時インプラント埋入はその他の埋入時期と比較し、インプラントの失敗率と有意に関連する
2 単独インプラントの場合、早期・遅延・後期埋入におけるインプラント生存率は、埋入後10年でも同程度に高い
3 即時インプラント埋入は束状骨の吸収を抑制することはできないと考えられるが、インプラント周囲における辺縁骨の吸収程度は、治癒した歯槽堤に埋入されたインプラント周囲の辺縁骨の吸収程度と同じである。
4 単独インプラント埋入の場合、早期・遅延・後期埋入におけるインプラント周囲の辺縁骨吸収は、唇側でも口蓋側でも同程度である。
5 早期と遅延埋入におけるインプラント周囲骨を比較すると、早期の方がインプラント周囲骨の高さと幅の減少量が小さく、歯槽骨を温存できる可能性がある。
6 早期埋入におけるインプラントと同時の骨造成は、遅延におけるそれと比較し、その効果が高く現れる。
7 早期および遅延埋入と比較して、抜歯即時インプラント埋入は唇側中央部における1mm以上の軟組織の退縮のリスクと大きく関係している。
8 骨移植をともなう即時インプラント埋入では唇側骨壁が高頻度で喪失し、さらなる軟組織の退縮に関与する。一方、GBRを同時に行った早期および遅延埋入では、唇側骨壁はあまり喪失しない
9 遅延埋入におけるインプラント周囲軟組織は、早期におけるそれと比較して、角化粘膜が熱く、粘膜の退縮が少なく、近遠心の乳頭組織の高さがあり、量も多い傾向にある。
10 即時インプラント埋入とその他の埋入時期における術後の感染症合併症は同程度である。
11 単独インプラント埋入の場合、早期・遅延・克巳埋入における生物学的合併症は同程度である。

*埋入時期に関する定義
即時インプラント埋入(type1) 抜歯と同時にインプラント埋入
早期インプラント埋入(type2)抜歯後1-2か月以内でインプラント埋入
遅延インプラント埋入(type3)抜歯後3-4か月以内でインプラント埋入
後期インプラント埋入(type4)抜歯後4か月以上でインプラント埋入