インプラント埋入時のリスクの軽減のために骨造成を行うことは、コンセンサスが得られています。
しかし造成した骨は条件の違いにより差はあるものの、時間の経過とともに変化することは必至です。
現在のところ、骨を造成することはさまざまな工夫により可能といえます。
しかし、正常な骨のリモデリング(骨改造)のなかに組み込まれ、本当の骨となり得るのは自分の組織のみを利用した特定の方法のみと言えます。
臨床で行われている多くの骨造成法では自家組織以外の人工物を使用していたために、本当の骨とはいいがたいです。一方で本当の骨でなくてはいけないのかという議論があります。これに対しては、インプラントという特殊状況から異物が上皮を断裂していることより、つねに感染のリスクを伴うために、辺縁歯肉の下部に骨ではない組織があることはリスクが高いと言わざるを得ません。

【目次】
・成熟個体における骨喪失と形成
・顎骨の再生
・骨造成でできた骨
・まとめ
 
・成熟個体における骨喪失と形成
成熟個体における骨のリモデリング以外で、骨に起こる異常な吸収と造成はいずれも病的と判断されます。一定の間隔を置いて機能圧を加えれば作業性肥大とよばれる代謝機能亢進を起こし、持続的に強い圧を加えれば吸収を起こします。また、炎症により骨は添加もすれば吸収します。これらの現象は通常原因を解除すれば、再生という現象が起こります。しかしながら、骨の吸収、造成が一定限度を超えれば当然その再生は行われず、形態・機能変化を起こすことになります。
 

・顎骨の再生
1骨欠損再生の条件
 再生とは、成熟固体において失われた組織が同じ組織により元の状態に戻ることです。この現象は、胎生期に組織同士が連続性を保ちながら形成される発生という現象を成熟固体が行うことであります。つまり、骨の発生に伴う遺伝子転写因子の発現、タンパク質の発現、そして石灰化への過程が順調に行われることが大前提であります。
 

2骨欠損部の活性化
いかなる骨病変でも、成長因子と誘導因子の放出がなければ骨の活性化が起こりません。骨内には多くの成長因子が含まれており、欠損周囲の骨からこれらの成長因子の放出がもたらされ、骨をつくる骨膜細胞、骨髄細胞などに働きかけ、活性化が起こると骨芽細胞となり、骨再生が始まります。やがて骨芽細胞は石灰化し、骨を形成します。
 
・欠損の再生
大きな骨欠損では、次の条件が満たされなければ、十分な再生を期待することはできません。

  • 酸素と栄養を送り込む血管の再構築の実現
  • 骨欠損部の安定性の確保
  • 再生可能な欠損の限界
  • 骨の再生を阻む組織の排除

これらの条件を満たしていない場合では、人為的な操作が必要となります。できるだけ骨欠損部を小さくして細胞の侵入を容易にするための骨補填材や線維芽細胞の侵入を防ぐ遮断膜の応用などの再生療法が必要となります。
 
・骨造成でできた骨
成熟固体で骨ができる場合、炎症性・反応性の骨造成が多いです。もう一つは、骨芽細胞の遺伝子に異常を来し、非自律的・不可逆的に造成がつづく腫瘍です。下顎隆起は、最初は咬合力の持続による機能性肥大であるが出来上がった骨は緻密骨となり、病理診断学的には骨種と診断されます。同様にブリッジのポンティックの下にも骨隆起ができたりX不透過像が増したりするケースがありますが、やはりその部位に負担がかかり、反応性の骨形成が惹起されると考えられます。さて、前者の炎症性・反応性の骨造成は基本的には可逆的なもので生体の恒常性維持に則って動きます。つまり骨折では骨膜反応で幼弱骨がつくられ、骨折部周辺を広範囲に覆い、次に骨折部が結合すると、余剰な骨は吸収され、元の大きさに戻る。
骨造成を行った骨も炎症性・反応性の骨であることは間違いなく、インプラント周囲に適切な恒常性の維持力や環境がない場所では吸収されることが結論でしょう。
 
・まとめ
今回は骨がどのようにして造成されているのか、骨造成した部分は本当の骨といえるかという難しい内容でした。日常のインプラント手術で行う「骨造成」では、骨が作られるとともに「骨の吸収」も行われるということを想定して移植する量を多めにしたり、数年後の骨造成した部分が良好な状態をキープできるようにという将来のことを考えて行うことが大切であると感じました。当院では上顎の臼歯部にサイナスリフト(骨造成)を行う際には、重力で移植した骨が吸収する量を想定して骨造成の範囲を広げる工夫をしております。そのため、インプラントが入って数年経過した今でもトラブルなく安定して使っていただけております。

【おすすめの関連記事】
・インプラント治療費用のご案内
・入れ歯でお困りの方はインプラントオーバーデンチャー
・ななつ星デンタルクリニックのインプラント治療に対する考え方
・院長紹介
・当院のインプラント治療の特徴
・当院のインプラント治療の流れ
 

名古屋市でインプラントなら、地下鉄野並駅・名鉄鳴海駅からもアクセスの良いななつ星デンタルクリニックへ